新型コロナウイルス後遺症と障害年金

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2024年01月11日

1 新型コロナウイルス後遺症とは

 新型コロナウイルス感染による発熱等が治まり、他の人に感染させる恐れがなくなった後も、強い倦怠感や記憶力・集中力の低下、呼吸困難等の後遺症を訴える方が多くいます。

 医学的に未解明の部分も多いようですが、通常のかぜとは異なり、新型コロナウイルスの感染により何らかの後遺症が残る場合があることは、一般的にも認められてきています。

2 新型コロナウイルス後遺症は障害年金の支給対象となるか

 障害年金は、ケガや病気で就労や日常生活に困難が生じた場合に、それを補うために支給されるものであり、基本的には支給対象となる病気を限定せず、幅広い病気が対象となっています。

 そのため、新型コロナウイルス後遺症も障害年金の対象となっており、厚生労働省のQ&Aでも、利用可能な支援制度として障害年金が紹介されています。

3 新型コロナウイルス後遺症による障害年金申請のポイント

 新型コロナウイルス後遺症で障害年金を申請するためには、現在現れている後遺症と新型コロナウイルスへの感染との間に因果関係があることを、医師に診断書に記載してもらう必要があります。

 強い倦怠感や記憶力・集中力の低下等の症状は、検査数値等には表れないため、ご自身の症状を医師にしっかり伝えた上で診断書に反映してもらうことが重要です。

 初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医療機関を受診した日)は、通常、新型コロナウイルス感染症の症状で初めて医療機関を受診した日となり、初診日の時点で厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金の申請になり、国民年金に加入していた場合は障害基礎年金の申請となります。

 障害年金の等級は、3級から1級まで3つの等級があり、大まかに言うと、就労に著しい制限がある程度が3級、日常生活に著しい制限がある程度が2級、身の回りのことを一人で行えない程度が1級となっています。

 そして、3級の場合、障害厚生年金は支給されますが、障害基礎年金は支給されません。

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