障害年金受給中に新たな障害が発症した場合の対応方法

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年02月17日

1 新たな障害が既存の障害と因果関係がある場合

 障害年金を受給中に新たな障害が発生し、その新たに発生した障害が、障害年金の支給対象となっている既存の障害と因果関係がある場合には、既存の障害が悪化したことになり、新たに発生した障害と既存の障害を合せると障害年金の等級が上る可能性がある場合には、額改定請求という手続きを行い、上位等級への改定を求めることができます。

 額改定請求は、等級の決定があってから1年間は行うことができません。

 従って、申請時点での症状の診断書1枚を提出して(事後重症請求)障害年金を受給している場合、障害年金を請求した日から1年間は額改定請求をすることができません。

 一方、障害認定日(初診日から1年6か月後)時点での症状の診断書を提出して(障害認定日請求)、障害認定日に障害年金を受け取る権利が発生しており、かつ、現在まで等級の変更がなかった場合、障害認定日から1年が経過していれば、いつでも額改定請求を行うことができます。

2 新たな障害が既存の障害と因果関係がない場合

 障害年金を受給中に新たに発生した障害が、障害年金の支給対象となっている既存の障害と因果関係がない場合は、新たに発生した障害について障害年金の申請をすることになります。

 申請の結果、障害年金を受け取る権利が発生すれば、既存の障害による障害年金と合わせて、等級が上る場合があります。

 例えば、既存の障害によって2級の障害基礎年金を受給しており、新たな障害でも2級の障害基礎年金を受け取る権利が発生した場合は、それらを合せて、1級の障害基礎年金を受け取る権利が発生します。

 また、既存の障害により3級の障害年金を受け取っており、新たに発生した障害と合わせて2級または1級に該当する場合には、新たに発生した障害の初診日を基準として、2級または1級の障害年金を受け取る権利が新たに発生します。

 この場合、既存の障害が過去に2級以上の重さになっていないことが必要です。

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