ICDで障害年金が受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年04月28日

1 心疾患と障害年金

 障害年金とは、病気やけがが原因で日常生活や仕事に支障が出たときに、現役世代であっても受け取ることができる年金です。

 心疾患に障害をお持ちの方は、日常生活に多大な支障を受けています。

 障害年金は、心疾患に基づく障害でも受給することができます。

2 不整脈とICD

 ICDとは、植え込み型除細動器のことです。

 ICDは、心疾患の中でも、不整脈を治療するための体内埋め込み型の装置です。

 ICDは、心臓の脈を監視し、不整脈が生じたときに電気ショックなどの治療を行います。

3 ICDと障害年金

 障害年金には、障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金(厚生年金)が存在します。

 障害基礎年金の等級は1級と2級であるのに対して、障害厚生年金には、さらに3級も存在しています。

 難治性の不整脈(放置すると心不全や突然死を引き起こす危険性の高い不整脈で、 適切な治療を受けているにも拘わらず、それが改善しないもの)について、ICDを装着した場合には、それだけで、障害の程度が障害厚生年金の3級に該当します。

 そのうえで、心疾患の障害認定基準における異常検査所見と一般状態区分が一定の基準に達する場合は、2級以上の等級が認定される可能性があります。

4 異常検査所見と一般状態区分

⑴ 異常検査所見

 A 安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの

 B 負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの

 C 胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの

 D 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの

 E 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの

 F 左室駆出率(EF)40%以下のもの

 G BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml相当を超えるもの

 H 重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの

 I 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するも

 

⑵ 一般状態区分

 ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

 イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの

 例えば、軽い家事、事務など

 ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

 エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

 オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 

⑶ 「異常検査所見のEがあり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの」または「異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち2つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの」の場合には、障害年金2級に該当します。

5 障害年金のご相談は当法人へ

 難治性の不整脈でICDを装着されている方は、障害年金を受給できる可能性が高いのですが、障害年金は、申請しなければ受給することができません。

 当法人は、障害年金に関して多くの依頼をいただいており、申請について豊富なノウハウがあります。

 名古屋にお住まいで、心疾患の障害年金を検討されている方は、当法人までご相談ください。

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